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第五の権力、、、って4つ目までは何?

インターネットの発達が世の中を変えた、というのはこのブログを見ている人にはよく分かる話だろう。

まあ、1990年以降に生まれたような人は物心ついたころからインターネットがあるのが普通なのでイメージできないかもしれないけれども、友達との約束をするにも学校で約束するか、少し緊張しながら固定電話に電話するかしていた時代に比べると、LINEかSNSかで連絡を取り合っている環境はまるで違う。

情報の検索も本を読むか、知っていそうな人に聞いていたのと比べれば、スマホでいつでもどこでも検索できるというのは全く違う。

もちろん、仕事の上でも情報のやり取りはネットを通じて行われることは日常の出来事であるし、様々な申し込むや販売などのビジネス上のやり取りもネット上で完結することは少なくはない。

そのような様々な変化は、もちろん日常生活だけではない。

政治や権力と言った面でも大きな変化がある。

今や日本国内でも世論の動向を探るのにインターネットが使われているし、少し前の「保育園落ちた、日本死ね!」の投稿からはじまった一連の政治的な動きは記憶に新しいところだろう。

そんな様々な動きを技術的な側面も含めて解説しているのが本書だ。

これが書かれた時期は、アラブの春と言われた動乱がチュニジアから、エジプト、リビアと政権を打倒した一方でシリアは泥沼の内戦に陥り、ISの台頭が始まった時期である。

また、中国政府との対立からGoogleが中国での事業を撤退する一方で微博(ウェイボ)など中国国内では独自のサービスが普及しているものの中国政府による検閲とそれに対抗するネットユーザーとの戦いが表立って繰り広げられており、ウィキリークスによるアメリカの機密情報の暴露があり、アノニマスによるサイバー攻撃が世界各地で始まってから間がない時期である。

これらはインターネットが普及したことにより実現した出来事であり、しかもそれがさほど違わない時期に政治的な世界で次々に起きたことは、もはや生活を変えるだけではなく世界に変革を与えるものになっていることを実感として感じられるような出来事であった。

もちろん、それはネットの力だけで実現されるものではなく、社会的な様々な背景があってこそ成り立つものであるが、それを単にネットの力で実現したということではなく、現実世界の問題と絡めながら、出来事の背景と起こりうる未来について書かれたのがこの本である。

正直、あまり書評などを頼りにすることもなくGoogleのCEOであったエリック・シュミットの初の著作ということだけで購入して、読む前には技術的指向が強く、ちょっとした予言めいた内容の本なのかな、と思っていたのだけれども、中身としては実際の様々な出来事にもとづいて、きちんと事実を基にした話が展開されていて、現実の社会の変化を読み解くという意味で意義ある内容になっていた。

例えば、2011年のビン・ラディン殺害では、ビン・ラディンの自宅をアメリカがいかにして突き止めたのかということは、彼がインターネットの監視を警戒して、自宅にインターネット回線を引いていないことからだったであるというのは興味深く読めたし、アラブの春と言われる一連の革命の中でエジプト政府が革命の引き金を引いてしまったのは、インターネットによるデモの拡散を防ぐためにネットの利用が出来ないように制限をかけたことにより民衆の怒りを買ってしまったことであるとか、そのような事実をベースに、国際政治やテロリストなどの動向が語られているのは非常に説得力のある話であった。

話は最終的には2025年に世界人口の大半である80億人がネットに繋がるようになった未来を語っている。

この中ですでにある程度、時間的にも規模的にもネットが普及して利用が進んできている先進国に比べると、これから多くの人がネットに繋がることになる新興国においてはその影響は大きく、動きもダイナミックになっていくだろうと予想されていた。

詳しく、様々な場面でどのようになっていくのかについては実際に本を読んで理解をしてもらいたいところなのだが、それらもなるほどと思える反面で、例えば日本国内でもガラケーを使い続ける人が一定数いることを考えると、社会の変化はそこまで急激に進行していくのかについては、若干の疑問が残ったのは事実である。

また、世界中の情報を整理するというGoogleの理念が念頭にあった上で、この本を読んでいくとちょっとその理念とは齟齬があるのではないかと思える部分もあった。

もちろん、Googleが次々にネット上に情報を掲げて世間との摩擦を引き起こしてきたのは著作権や肖像権などの関する問題が中心であり、本の中で取り上げられているのは政治問題やテロリズムなどについても紙面の多くが割かれているため、この辺りについては考え方が違うのかもしれないけれども、その辺りの自分が感じた違和感がエリック・シュミット個人の考えなのか、Googleの目指すところなのか、世界に最も影響を与える企業の目指す先を見通すつもりで読むと、少し困惑するかもしれない。

いずれにしても、インターネットの影響力は今後、増していくことはあっても減じていくことというのは考えにくい。

それらが社会的、政治的にどのような影響を与えていくのか見通していく上では読んでみても良いのかなと思う。

 

第五の権力---Googleには見えている未来

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