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思えば多感な時期でした

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」ということで、思い返せば本から受けた影響というのは、それなりにあっただろうと思う。

少年期に影響を受けたのは、もちろん小説なども読んでいて赤川次郎司馬遼太郎やらを読む一方でライトノベルなんぞも読んでいたが、印象に強く残っているということで言えば科学系の書籍だろうか。

小学生の頃で言えば「科学的とはどういうことか?」という本で、いわゆる科学的思考を養う上で影響を受けた一冊であったように記憶しているが、何しろ小さい頃に読んだ本であるので、どのくらい影響を受けたのかということについては記憶が定かではない。

物心がしっかりとついてから読んだ本ということでは「ファイマン物理学」「ホーキング博士宇宙を語る」などが印象に残っている。

その後、科学を学ぼうという意識を持つうえで、それを強化することになった本である。

しかしながら、科学について強い興味を持つに至った一番大きな影響を与えたのはそれらの書籍ではなくNHKで放送された「アインシュタインロマン」であったから、残念ながら、これらを人生に影響を与えた一冊というには、ちょっと違うのかなと思う。

では、科学を学ぼうという意識とは別に人生全般について指針と成るような本がなかったかと考えてみると、一番影響を受けているのではないかと思うのは司馬遼太郎の「21世紀に生きる君たちへ」だ。

これは小学生に向けて書かれた司馬遼太郎が伝えたいメッセージのこもったエッセイであり、元は小学生の教科書へ掲載すべく書かれたものであった。

第二次世界大戦を経験して、日本という国の成り立ちについて深く考え、歴史小説を書くまでになった司馬遼太郎が、過去の歴史ではなく未来に向けて書いた若者への応援歌のような文章である。

内容としては小学生の、しかも中学年程度を想定して書かれていると思われるので、決して難しい内容ではない。

しかしながら、何度も推敲して書かれた文章は、一言一言に無駄がなく、我々が人生を生きていく上で何をこころがけていくべきであるのかということを見事に書ききってあり、それは決して子どもたちだけではなく、実際に21世紀という時代を生きている我々に対して訴えかけてくるものがある。

決して大げさな文章ではなく、どちらかと言えば淡々とした内容ではあるのだが、それが逆に読むものを深い思いへと駆り立てるものだ。

決して長い文章ではないし、おそらくこれを掲載する多くの書籍が、もう少し上の年齢層に向かって書かれた「洪庵の松明」という一遍も収録しているが、両方合わせても10分ほどで読めてしまうほどの内容である。

しかしながら、そこに込められたメッセージは司馬遼太郎がそれまで生きてきた何十年の思いが感じられる。

この本は自分の人生を歩んでいく上で、具体的にこういうふうにしようとか、そういう決断を導くような本ではないが、今でも時々読み返しては、自分の生き方が正しいのかと羅針盤になるような一冊だ。

そして、これからも人生という航海を進む上で、進むべき方角を教えてくれるものであり続けるろ思っている。