人生107年時代?

去年、海外でヒットした書籍「LIFE SHIFT」を呼んだ。

 

この本を簡単に説明すれば「人生100年時代を迎えているが、それだけ長い人生を生きるということは今までの常識とは違う新しい生き方をしなければならない」ということだ。

この本は、予想の正確性がどのくらいかは分からないが2007年に生まれた子供が何歳まで生きるのか、という予想をもとに話が進んでいく。

先進国は、どの国であっても約半数の人が100歳以上まで生きるという予測になっており、日本については半数の人が107歳まで生きると予想されていた。

107歳まで生きるというのは言葉にすれば簡単であるけれども、実際に想像してみるのはなかなか難しい。

2017年の107年前と言えば1910年のことだ。

日本は明治末期で日清戦争日露戦争を経て徳川政権下で結ばれた不平等条約が徐々に解消されて、国際社会の中でも日本という国が存在感を発揮し始めた時代。

社会的には第一次産業革命の次、第二次産業革命を過ぎて、どんどんと工業化を迎えている時代。

とはいえ大規模な工場などは建設されているものの家庭にまでは産業化の恩恵はいまだに少なく電化製品などはほとんどない時代だった。

そのため当時、必要されていた能力は産業の中心であった農業や繊維などの軽工業のほか、富国強兵政策などから軍人も必要とされていた。

一方で、サービス産業は小売りや金融などの一部を除いては非常に小規模な時代であった。

そこからの現代までの時代の変化は言うまでもない。

その間、社会に適応していくためには大正期の自由な空気、戦前・戦争の軍国主義、戦後の民主化、高度経済成長などなど、様々な変化に対応していかなければならず、決して平たんな道のりではなかったはずだ。

だが、時代の変化のスピードは過去の100年分の変化が、これから数十年で迎えるとも言われている。

AIの発達があらゆる産業に影響を及ぼすことが予想されており、IOT機器へのAIの搭載や自動運転などの導入、再生医療の進展、国際化など様々な変化が予想されているが、それはせいぜい今後20年から30年程度までであって50年先、100年先となると想像もできない部分もある。

しかし、そんな想像すら難しい未来を今の子供たちは生きていかなくてはならない。

そんなことは、ちょっと考えてみればわかることではあるのだけれど、まとまって体系的に理解を、と考えると意外に難しい。

この本は、そんなヒントを与えてくれる一冊であり、年齢が若ければ若いほど必読な一冊なのかと思う。